株式会社ieyasu(税理士法人袖野会計沖縄オフィス 連携運営)が運営する、親族内承継の専門サイトをリニューアルいたしました。
「成功例」ではなく「失敗例」から始まるサイトにした理由
事業承継のサービスサイトは、通常、支援実績や成功事例を前面に置きます。今回のリニューアルでは、あえて「失敗例」を最初のコンテンツに配置しました。
理由は単純です。事業承継と組織再編は、一度実行すると後戻りができないためです。そして失敗の代償は、数百万円から数億円規模の追加課税という、極めて具体的な金額として表れます。
経営者の方に最初にお伝えすべきなのは、私たちの実績ではなく、この判断の非可逆性だと考えました。
実務で起きる3つの失敗
適格だと判断して実行したが、非適格と判定された
組織再編税制の適格性判定は、法人税実務のなかでも論点が最も多い領域の一つです。適格分割の要件を満たすと判断し、課税の繰延べを前提に組織再編を意思決定する。登記も完了し、簿価による税務処理を行う。ところが後日の税務調査で要件の未充足を指摘され、時価による組織再編とみなされる。この時点で、繰り延べたはずの含み益に対する課税が一括で生じます。
判断の誤りが表面化するのは、実行の数年後です。
合併したが、繰越欠損金を引き継げなかった
合併により被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐには、厳格な要件を満たす必要があります。引継ぎを前提に損益計画を策定し、合併登記まで完了させたものの、要件充足の確認が不十分だった。税務調査で引継ぎを否認され、見込んでいた税務メリットが失われる。
欠損金の額が大きい案件ほど、損益計画への影響も大きくなります。
実行後に、より有利なスキームの存在を知った
事業承継は、最初に選択するスキームによって最終的な納税額が大きく変わります。提案された案をそのまま採用し、複数スキームの並列比較を行わないまま株式贈与や組織再編を実行する。その後、別の専門家から、より税負担の小さい選択肢があったことを説明される。
実行後のスキーム変更は、基本的にできません。
期限は延びました。ただし、余裕はありません
令和8年度税制改正により、法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限が、令和9年(2027年)9月30日まで延長されました。
一方で、注意していただきたいのは次の点です。
| 項目 | 期限 |
|---|---|
| 特例承継計画の提出期限 | 令和9年9月30日 |
| 特例措置の適用期限(贈与・相続の実行) | 令和9年12月31日 |
延長されたのは計画の提出期限であって、贈与・相続を実際に実行する期限は令和9年12月31日のまま据え置かれています。
なお個人版事業承継税制は、個人事業承継計画の提出期限が令和10年9月30日、適用期限が令和10年12月31日です。
本稿執筆時点は2026年7月です。実行期限まで、およそ17か月。
この17か月で必要になるのは、自社株評価、後継者要件と会社要件の充足確認、必要に応じたグループ再編、贈与または相続の実行、認定申請と申告です。株価の引下げ策を組み込む場合は、その効果が決算に表れるまでの期間も見込まなければなりません。決算期をまたぐ論点も生じます。
「まだ1年以上ある」ではなく、「もう1年半しかない」というのが実務感覚です。
逆算するとこうなります
令和9年12月に株式の贈与を実行し、法人版事業承継税制(特例措置)の適用を受ける場合の、おおまかな逆算スケジュールです。
| 時期 | 実施事項 |
|---|---|
| 2026年8〜10月 | 現状把握。株主名簿の確認、自社株評価、後継者の意思確認、グループ各社の資本関係の整理 |
| 2026年11月〜 2027年3月 |
スキームの並列比較。事業承継税制、相続時精算課税、持株会社化、種類株式の活用などを試算し、最終的な税負担で比較 |
| 2027年4〜8月 | 実行準備。定款・役員体制の整備、必要な組織再編の実行、株価対策の織り込み |
| 2027年9月30日 | 特例承継計画の提出期限 |
| 2027年10〜12月 | 株式の贈与、代表者の交代、都道府県知事への認定申請 |
| 2027年12月31日 | 特例措置の適用期限 |
| 2028年3月15日 | 贈与税の申告期限(担保提供を含む) |
ご覧のとおり、検討に充てられるのは実質1年程度です。しかも、この表には次のような変動要因が含まれていません。
- 決算期による自社株評価のタイミングのずれ
- 後継者の役員就任時期に関する要件(就任からの経過期間が問われます)
- 組織再編を伴う場合の登記・許認可の承継手続
- 遺留分への配慮が必要な場合の、他の相続人との調整
とくに最後の遺留分の調整は、税務の論点ではなく親族間の合意形成の問題です。ここに半年かかることは珍しくありません。
※ 遺留分に関する法的な判断や、除外合意・固定合意といった民法特例の手続については、弁護士にご相談いただく領域となります。
支援体制
株式会社ieyasuは、2025年10月1日に設立した親族内承継の専門会社です。取締役5名のうち代表取締役の袖野弘毅(税理士)と取締役の野田洋平(公認会計士・税理士)が沖縄に常勤し、東京の3名が組織再編・M&A・連結納税の各領域を担当しています。
| 氏名 | 役職 | 主な得意分野 |
|---|---|---|
| 袖野 弘毅 | 代表取締役/税理士 | 事業承継、組織再編コンサルティング、ホールディングス化、自社株対策 |
| 石山 佳央 | 取締役/税理士 | 組織再編、M&A、連結納税、税務・財務コンサルティング |
| 早田 俊一 | 取締役/税理士 | 組織再編、税務コンサルティング、事業承継設計 |
| 高橋 康 | 取締役/税理士・CFP® | 事業承継、グループ資本整理、自社株対策、公益財団対応、税務デューデリジェンス |
| 野田 洋平 | 取締役/公認会計士・税理士 | 財務デューデリジェンス、M&Aアドバイザリー、企業価値評価、金融機関対応 |
ご支援の対象は、全国の非上場中堅〜大手企業で、親族内承継を控える企業です。具体的には、次のような状況にある企業を想定しています。
- 創業者から後継者への株式承継を控えている
- 自社株評価額が大きく、相続税負担が懸念される
- 複数事業・複数法人を保有し、グループ再編の必要性がある
- 事業承継税制・組織再編税制の活用を検討している
税理士の先生方へ ― 3つの連携プラン
親族内承継の案件を抱えていらっしゃる税理士の先生方に向けて、3つの連携プランをご用意しています。
| プラン | 内容 |
|---|---|
| PLAN 01 単純な紹介 |
クライアントを株式会社ieyasuにご紹介いただく形態 |
| PLAN 02 共同対応 |
ieyasuのメンバーが、先生とご一緒にクライアントへ対応する形態 |
| PLAN 03 完全バックオフィス支援 |
ieyasuが完全に裏方として、先生の事業承継案件をサポートする形態 |
顧問先との関係を維持したまま、専門領域だけを外部に委ねたいというご要望に対応するのがPLAN 03です。各プランのサービス内容と料金体系は、サイト内の税理士向けページに掲載しています。
親族内承継は減っています。だからこそ
帝国データバンクの2025年調査によれば、社長就任経緯別の「同族承継」の構成比は32.3%(速報値)まで低下し、「内部昇格」(36.1%)に初めて上回られました。事業承継の主流は、親族から社内外の第三者へ移りつつあります。
裏を返せば、親族内で承継すると決めた企業にとって、この領域の実務知見を蓄積している専門家は、相対的に希少になっていくということです。
一度きりの選択を、確かな未来へ。ご相談をお待ちしております。
株式会社ieyasu
〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地1丁目1番1号 パレット久茂地9階
代表取締役:袖野 弘毅/取締役:野田 洋平・石山 佳央・早田 俊一・高橋 康
TEL 098-979-7221(平日 9:00〜18:00)
税理士法人袖野会計沖縄オフィス
〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地1丁目1番1号 パレット久茂地9階
TEL 098-979-7221 / info@sdnd.jp
- 出典:中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」
- 出典:経済産業省「令和8年度 経済産業関係税制改正について」
- 出典:株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」
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