「とりあえずPDFはフォルダに保存している」「うちは小さな会社だから大丈夫」
沖縄県内で事業を営む経営者の皆さま、そう思ってはいませんか?本記事では、「電子帳簿保存法」への対応が不十分だったために、税務調査で青色申告の承認取り消しのリスクを指摘された、沖縄県内のITサービス業者の実例を基にしたケーススタディをご紹介します。これは決して他人事ではありません。税務調査の連絡が来る前に、ぜひご一読ください。
そのPDF保存、NGかも?電子帳簿保存法違反で青色申告が取り消しに…沖縄の中小企業の落とし穴
ある日、税務署から届く一本の電話。「税務調査に伺いたいのですが…」
今回ご紹介するのは、那覇市でWeb制作を手掛けるB社の事例です。創業5年で業績は好調。クラウドサービスも積極的に活用し、ペーパーレス化を進めているという自負がありました。しかし、3日間の税務調査の結果、調査官から思わぬ指摘を受けることになります。「このままでは、青色申告の承認を取り消す可能性があります」。一体、何が問題だったのでしょうか。
調査官が指摘した2つの問題点
B社のケースでは、ペーパーレス化を進める多くの企業が陥りがちな、電子帳簿保存法の落とし穴が問題となりました。
1. ルールなき「とりあえず保存」
取引先からメールで届く請求書PDFや、Amazonで購入した備品の領収書データ。B社では、担当者が各自の判断でパソコンのフォルダに保存していました。
- 問題点:ファイル名が「請求書.pdf」や「20250927.pdf」などバラバラで、「取引年月日・取引金額・取引先」で検索できる状態ではなかった。
- 調査官の指摘:「これでは必要な時にすぐデータを探せませんね。法律で定められた検索要件を満たしていません。」
2. 印刷した紙が「正」という思い込み
B社では、データで受け取った請求書や領収書を、すべて印刷して紙でファイリングし、それを会計処理の元としていました。データそのものは、担当者のPCのダウンロードフォルダなどに残ったままでした。
- 問題点:2024年1月以降、データで受け取った取引情報は、データのまま保存することが義務。紙に印刷しての保存は原則として認められない。
- 調査官の指摘:「この印刷した請求書は、残念ながら正式な保存書類とは認められません。元の電子データを、改ざんできない形で保存・管理する必要があります。」
なぜ「青色申告の取り消し」リスクまで指摘されたのか?
青色申告の承認を受けるためには、「取引を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に基づき作成された貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して、その提出期限内に提出すること」が求められます。
電子取引データの保存が法律の要件を満たしていない場合、「取引を正しく記録・保存していない」と判断される可能性があります。その結果、最も重い罰則として青色申告の承認が取り消されるリスクがあるのです。
- 青色申告が取り消されると…:最大65万円の特別控除が使えなくなり、赤字の繰越もできなくなるなど、納税額が大幅に増加する恐れがあります。
B社のケースでは、悪質性は低いと判断されましたが、厳重注意の上で早急な業務改善を指導される結果となりました。
税理士がいれば結果は変わっていた?
もしB社が事前に税理士に相談していれば、このような事態は防げた可能性が高いです。税理士は以下のサポートを提供します。
- 日々の適正なデータ管理体制の構築:貴社の業務フローに合わせ、コストをかけずに実現できる最適なデータ保存ルール(ファイル名の統一、事務処理規程の作成など)をご提案します。
- 業務効率化に繋がるIT支援:法律対応を機に、クラウド会計システムなどを導入し、経理全体の効率化を図るサポートも可能です。
- 税務調査への事前準備と立会い:調査の連絡があった際に、電子データの管理状況を最終チェックし、調査当日は専門家として経営者の代わりに調査官へ説明します。
税理士は、法律対応はもちろん、その先の業務改善まで見据えた心強いパートナーです。
ご相談から解決までの流れ
- 初回相談:現状のデータ管理方法や経理のお悩みをヒアリングします(オンライン可)。
- ご提案:貴社に最適な電子帳簿保存法への対応プランと、業務改善策をご提示します。
- 実行支援:保存ルールの策定、事務処理規程の作成、クラウド会計の導入などをサポートし、法律に準拠した体制を構築します。
- フォローアップ:税務調査の連絡があった際は、万全の準備と当日の立会いで経営者を守ります。
アクセス情報・事務所案内
〒904-0116 沖縄県中頭郡北谷町北谷二丁目14番地3・305号
まとめ:電子帳簿保存法への対応は「未来への投資」です
今回ご紹介した事例は、IT化を進める沖縄県内の企業では、どこにでも起こりうる話です。
電子帳簿保存法への対応は、単なる義務やコストではありません。会社の重要なデータを守り、経理業務を効率化するための「未来への投資」です。
「うちのやり方で本当に大丈夫だろうか?」と少しでも不安に感じたら、手遅れになる前に、まずはお気軽にご相談ください。専門家の視点で貴社の状況を診断し、安心の経営をサポートします。
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