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社長、会社のお金を個人的に使っていませんか?「役員貸付金」がもたらす、銀行融資と税務上の致命的リスク

「ちょっと現金が足りないから、会社の金庫から一時的に拝借…」 「プライベートで使うものの支払いを、会社の経費で立て替えてもらったままだ…」 「会社と自分は一心同体。資金の行き来も自由でいいだろう。」

沖縄で会社を経営されている社長様、このような考えから、会社と個人の財布の境界線が曖昧になってはいませんか?

特に、創業期から必死に会社を成長させてきた社長様ほど、「会社のお金=自分のお金」という感覚に陥りやすいものです。しかし、その少しの気の緩みが、決算書に「役員貸付金」という、会社の未来を蝕む”爆弾”を生み出しているとしたら…?

この記事では、多くの中小企業が決算書に載せてしまっている「役員貸付金」が、いかに危険な存在であるか、そして「銀行融資」と「税務」という二つの側面から、あなたの会社にどのような致命的なリスクをもたらすかを、私たち税理士法人袖野会計沖縄オフィスが徹底的に解説します。

この記事を最後まで読めば、「役員貸付金」を放置することの本当の恐ろしさと、その問題を解決し、クリーンで強い財務体質を構築するための具体的な道筋が明確になります。

そもそも「役員貸付金」とは?その正体と発生原因

クエスチョン

「役員貸付金」とは、その名の通り、会社が社長や役員に対してお金を貸し付けている状態を示す勘定科目です。しかし、その実態は「社長、会社にお金を返してくださいね」という、会社から社長への「債権(請求権)」に他なりません。

これは、社長が会社の金庫から直接現金を借りるケースだけではありません。以下のような場合にも、意図せず発生してしまいます。

  • 社長個人の支出を、会社が立て替えたままになっている (例:プライベートな飲食代、個人的な生命保険料、自宅の家賃など)
  • 使途不明金が発生し、内容を説明できない (例:領収書のない出金があり、とりあえず「社長への貸付」として処理した)
  • 会社から適正な利息を取らずにお金を借りている

中小企業では、この「公私混同」が起こりやすく、気づかぬうちに決算書の資産の部に「役員貸付金」が計上され、年々その金額が膨らんでいくケースが後を絶ちません。

致命的リスク1:銀行は「役員貸付金」をこう見ている!融資を遠ざける最悪の勘定科目

帳簿

会社の成長のため、沖縄銀行や琉球銀行、コザ信用金庫などからの融資を検討する際、銀行の担当者は決算書のどこを最初に見ると思いますか?売上や利益はもちろんですが、彼らが特に鋭い目でチェックするのが、この「役員貸付金」です。

銀行にとって、この勘定科目は**「融資の可否を判断する上で、最悪の勘定科目の一つ」**と言っても過言ではありません。

理由1:「公私混同」の経営姿勢を疑われる

銀行が最も嫌うのは、経営者の「公私混同」です。決算書に「役員貸付金」があるということは、「この社長は、会社のお金を個人的な目的で自由に使っている」という動かぬ証拠になります。これは、経営者としての規律(ガバナンス)が欠如しており、会社の資金管理が杜撰であると判断され、経営者自身の資質に大きな疑問符を付けられることになります。

理由2:実質的な「債務超過」と見なされる

銀行は、「役員貸付金」を**「回収不能な不良債権」**として評価します。つまり、決算書上は資産として計上されていても、銀行の内部評価では、その全額を資産から差し引いて会社の財務状況を判断するのです。

例えば、資本金が500万円の会社に、役員貸付金が600万円あったとします。会計上、自己資本はプラスですが、銀行の評価では「500万円 – 600万円 = ▲100万円」となり、**実質的な「債務超過」**と見なされてしまいます。これでは、融資の審査の土俵にすら上がれません。

理由3:融資資金の「私的流用」を警戒される

銀行は、「融資した資金が、事業目的以外に使われるのではないか」という点を非常に警戒します。決算書に役員貸付金がある会社に対しては、「今回融資したお金も、結局は社長の個人的な支出に流用されるのではないか」という強い疑念を抱きます。この疑念を払拭することは極めて困難であり、融資の謝絶、融資額の大幅な減額、または高い金利を提示される直接的な原因となります。

致命的リスク2:税務署はこう見る!ペナルティという名の追徴課税

注意

銀行だけでなく、税務署も「役員貸付金」を厳しく監視しています。税務署にとって、これは**「隠れた役員報酬」または「租税回避行為」**の温床と見なされるからです。

理由1:「受取利息の認定」という理不尽な課税

会社が役員にお金を貸す場合、親しい間柄であっても、他人から借りる場合と同様に「適正な利息」を受け取らなければなりません。もし、無利息または不当に低い利率で貸し付けている場合、税務調査で必ず指摘されます。

税務署は、国が定める利率(令和4年時点では年0.9%)で計算した利息を、会社が受け取ったものと「みなし」(これを認定利息と言います)、その架空の利益に対して法人税を課税します。会社は、実際には受け取っていないお金に対して、税金を支払わなければならないのです。

理由2:「役員賞与の認定」という最悪のシナリオ

役員貸付金が長期間返済されず、返済の意思もないと税務署が判断した場合、その貸付金の全額が「社長への役員賞与(ボーナス)」と見なされることがあります。これが最悪のシナリオです。

なぜなら、この「認定賞与」は、税務上、会社の経費(損金)として認められません。その結果、

  1. 会社側: 貸付金(認定賞与)の金額が経費にならないため、法人税の負担が増える
  2. 社長個人側: 貸付金(認定賞与)の金額が給与所得に上乗せされ、所得税・住民税の負担が大幅に増える。さらに、社会保険料の対象にもなる。

という、法人と個人の両方で多額の税金・社会保険料が発生する**「ダブルパンチ」**に見舞われます。例えば、1,000万円の役員貸付金が賞与認定された場合、追徴税額は数百万円にのぼることも珍しくありません。

「役員貸付金」という爆弾を処理するための、具体的な5ステップ

では、決算書に計上されてしまった「役員貸付金」を、どうすれば安全に解消できるのでしょうか。放置すればするほど、問題は深刻化します。今すぐ、以下のステップで解決に着手しましょう。

  • ステップ1:【現状把握と意識改革】 まずは、なぜ役員貸付金が発生したのか、その原因を徹底的に究明します。そして何よりも、社長自身が「会社と個人は別人格である」という意識を強く持ち、公私混同を断ち切る覚悟を決めることが全てのスタートです。
  • ステップ2:【返済計画の策定】 私たちのような税理士と相談の上、現実的で具体的な返済計画を立て、「金銭消費貸借契約書」を正式に作成します。これは、銀行や税務署に対して「返済の意思がある」ことを示す重要な証拠となります。
  • ステップ3:【役員報酬からの天引き】 策定した計画に基づき、毎月の役員報酬から一定額を天引きする形で、着実に返済を進めます。
  • ステップ4:【役員退職金の活用】 これは非常に有効な「出口戦略」です。社長や役員の退任時に支給される「役員退職金」と、役員貸付金を相殺するのです。役員退職金は税制上優遇されており、会社にとっても全額損金として計上できるため、税負担を抑えながら貸付金を解消できます。ただし、退職金の金額算定や手続きには専門的な知識が不可欠です。
  • ステップ5:【個人資産による返済】 社長個人の預金や、生命保険の解約返戻金、所有不動産の売却代金などを使って、一括または分割で返済する方法です。

まとめ:クリーンな財務体質こそが、会社の成長を加速させる

提案している様子

「役員貸付金」は、単なる会計上の数字ではありません。それは、会社の信用を蝕み、成長の機会を奪い、予期せぬ税負担を生み出す、経営上の「病巣」です。

この病巣を放置したままでは、どんなに素晴らしい事業計画を描いても、銀行からの信頼は得られず、いざという時に会社を守ることはできません。

袖野弘毅(左)野田洋平(右)

私たち税理士法人袖野会計沖縄オフィスは、単に税金の計算をするだけの会計事務所ではありません。お客様の会社の財務状況を深く分析し、このような経営上のリスクを根本から取り除き、金融機関からも税務署からも信頼される、クリーンで強固な財務体質を構築するパートナーです。

もし、あなたの会社の決算書に「役員貸付金」という文字があるのなら、決して見て見ぬフリをしないでください。問題が小さいうちであれば、打てる手はたくさんあります。

あなたの会社の未来のために、まずは一度、私たちにご相談ください。

▶︎ 税務・財務に関するご相談は、税理士法人袖野会計沖縄オフィスへ

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初回のご相談は無料です。あなたの会社の輝かしい未来を、共に創り上げる日を心よりお待ちしております。

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