「今月も売上目標は達成した。素晴らしいじゃないか!」 「事業は間違いなく成長している。決算書の上では、利益も出ている。」 「…なのに、なぜだ?月末になると、いつも会社の預金通帳はギリギリなんだ…」
沖縄でスタートアップを立ち上げ、寝る間も惜しんで事業を成長させてきた経営者のあなたへ。このような、「売上は伸びているのに、なぜか現金がない」という、深刻な悩みを抱えていませんか?
この状態は、成長期のスタートアップが最も陥りやすい、そして最も危険な「黒字倒産」という罠の入口です。損益計算書(P&L)上の利益という”幻”に惑わされ、会社の血液であるはずの”現金(キャッシュ)”が枯渇していく。これは、あなたの努力や情熱が足りないからではありません。成長期特有の「お金の流れのズレ」を、正しく理解し、管理できていないことが原因なのです。
この記事では、多くの中小企業、特に急成長しているスタートアップがなぜこの罠に陥るのか、その原因を徹底的に解剖します。そして、その問題を根本から解決し、あなたの会社を本当の意味で「強い企業」へと変えるための、クラウド会計を活用した「キャッシュフロー経営」の極意を、私たち税理士法人袖野会計沖縄オフィスが解説します。
「利益」と「現金」は全くの別物!黒字倒産の本当の恐ろしさ

まず、経営者として絶対に理解しなければならない大原則があります。それは、「会計上の利益」と「手元にある現金」は、決してイコールではないということです。
損益計算書(P&L)上の利益は、あくまで「売上」から「経費」を差し引いた、会計ルール上の計算結果に過ぎません。そこには、まだ入金されていない売上(売掛金)も含まれていれば、すでに出ていった現金の動きが正しく反映されていないこともあります。
黒字倒産とは、この「利益」と「現金」のギャップによって、決算書上は黒字にもかかわらず、仕入先への支払いや従業員への給与、借入金の返済といった支払いに必要な現金が尽きてしまい、事業を継続できなくなる状態を指します。これは、どんなに素晴らしいサービスや商品を持っていても、どんなに売上が伸びていても、起こりうるのです。
あなたの会社の現金を奪う「3人の犯人」は誰だ?

では、なぜ成長すればするほど、現金は減っていくのでしょうか?その主な原因は、以下の「3人の犯人」にあります。
犯人1:時間差攻撃を仕掛ける「売掛金」
特にBtoB(法人向け)ビジネスで顕著ですが、商品を販売したり、サービスを提供したりしてから、その代金が実際に入金されるまでには、通常30日〜60日程度のタイムラグがあります。この未回収の売上を「売掛金」と呼びます。
【具体例:沖縄のWeb制作会社A社の場合】
- 4月: 大口クライアントのウェブサイトを納品。売上100万円が計上され、P&L上は好調に見える。
- 5月: 社員への給与、オフィスの家賃、サーバー代など、経費50万円の支払いが発生。会社の現金が50万円減少する。
- 6月末: 4月に納品した分の代金100万円が、ようやくクライアントから入金される。
この例では、4月から6月末までの約3ヶ月間、A社は売上が立っているにもかかわらず、手元の現金は減り続けるという状況に陥ります。事業が急成長し、売上が増えれば増えるほど、この「売掛金」という名の”未来の現金”は膨らみ、”今ある現金”はどんどん減少していくのです。
犯人2:棚で現金を眠らせる「在庫」
小売業や卸売業、製造業はもちろん、飲食店などでも「在庫」は現金を奪う大きな要因です。会計上、在庫は「資産」ですが、キャッシュフローの観点から見れば、それは**「棚の上で眠っている現金」**に他なりません。
【具体例:沖縄のお土産物店B社の場合】
- 6月: 夏の観光シーズンに備え、人気が出そうな新商品を現金300万円で大量に仕入れる。この時点では、経費ではなく「資産(在庫)」として計上されるため、P&L上の利益は減らない。
- 7月〜8月: 商品は順調に売れ、売上は好調。
- 9月: シーズンが終わり、仕入れた商品のうち50万円分が売れ残ってしまった。
この場合、B社は夏の間、常に300万円の現金を失った状態で経営していたことになります。そして、売れ残った50万円分の在庫は、次のシーズンまで価値を生み出さない「眠れる現金」として、倉庫の家賃というコストを発生させながら、会社の資金繰りを圧迫し続けるのです。
犯人3:一気に現金を奪い去る「設備投資」
事業の成長には、新たな設備投資が不可欠です。PCの購入、製造機械の導入、オフィスの移転・改装など。これらの投資は、未来の利益を生み出すために必要ですが、キャッシュフローには大きなインパクトを与えます。
【具体例:沖縄のITスタートアップC社の場合】
- 5月: 事業拡大のため、高性能なPCやサーバーを200万円で購入。会社の現金が一気に200万円減少する。
- 決算時: 会計上、この200万円は一度に経費になるわけではなく、「減価償却」という手続きで、数年間にわたって少しずつ経費計上される。例えば4年で償却する場合、その年の経費になるのは50万円だけ。
P&L上は、利益への影響が50万円に抑えられているため、経営者は「まだ余裕がある」と錯覚しがちです。しかし、会社の通帳からは、すでに200万円という大金が消えているのです。このギャップを認識せずに次の投資判断を下すと、突然の資金ショートを招くことになります。
解決策:「未来会計」によるキャッシュフロー経営への移行

これらの「犯人」から会社を守り、本当の意味で強い企業を創るための唯一の解決策。それが、**クラウド会計を活用した「キャッシュフロー経営」**への移行です。
これは、単に過去の数字を追いかけるのではなく、リアルタイムで会社の現金の動きを「見える化」し、数ヶ月先の未来までを「予測」する、新しい経営スタイルです。
Step 1:リアルタイムでの「資金繰りの見える化」
まず、マネーフォワードクラウドのようなクラウド会計ソフトを導入し、沖縄銀行や琉球銀行、沖縄公庫などの金融機関口座やクレジットカードを全て連携させます。これにより、会社の全ての現金の出入りが、人の手を介さずに、リアルタイムで会計データに反映されます。
もう、通帳のコピーとExcelで、時間のかかる資金繰り表を作成する必要はありません。いつでも、どこでも、スマホ一つで「今、会社にいくら現金があるのか」を正確に把握できるようになります。
Step 2:高精度な「未来予測」
ここからが、私たち税理士法人袖野会計沖縄オフィスの真骨頂です。私たちは、リアルタイムで蓄積されたデータを基に、経営管理クラウド「Manageboard」などを活用し、**3ヶ月〜6ヶ月先の「資金繰り予測表」**を作成します。
- 入金予測: 現在の売掛金の回収予定日から、将来の入金額を予測します。
- 支払予測: 毎月の固定費(家賃、人件費)や、買掛金の支払予定、借入金の返済予定などから、将来の支払額を予測します。
この未来予測により、「3ヶ月後に、このままだと資金がショートする可能性がある」といった危険信号を、問題が起こるずっと前に察知することができるのです。
Step 3:先手を打つ「財務戦略」
危険信号を察知できれば、あとは対策を打つだけです。
- 資金ショートの予測が出た場合: 慌てて高金利の融資に頼るのではなく、余裕を持って金融機関と交渉し、有利な条件で資金を調達できます。
- 資金に余裕がある予測が出た場合: どのタイミングで、いくらまでなら広告宣伝や設備投資に回せるか、データに基づいて判断できます。
このように、キャッシュフロー経営とは、未来を予測し、常に先手を打つことで、会社を成長の波に乗り続けさせる、攻めの経営管理手法なのです。
まとめ:あなたの会社に、未来を語れるパートナーはいますか?

売上や利益だけを見て一喜一憂する経営は、羅針盤を持たずに嵐の海へ漕ぎ出すようなものです。特に、成長の追い風が吹いている時ほど、足元の現金の流れを見失い、思わぬ座礁(黒字倒産)のリスクが高まります。
あなたの会社の未来を守り、成長を確実なものにするために本当に必要なのは、過去の決算書を作ってくれるだけの税理士ではありません。リアルタイムのデータに基づき、共に未来を予測し、会社のキャッシュフローを守り、育てる「社外CFO(最高財務責任者)」のような存在です。
私たち税理士法人袖野会計沖縄オフィスは、沖縄で挑戦するすべてのスタートアップ経営者の、そのような存在でありたいと強く願っています。
もしあなたが、
- 売上と現金のギャップに、漠然とした不安を感じている
- どんぶり勘定から脱却し、データに基づいた経営をしたい
- 会社の未来を共に考え、伴走してくれるパートナーを探している
そうであれば、ぜひ一度、私たちとお話をしてみませんか? 貴社の現状と未来のビジョンをお伺いし、私たちがどのように貢献できるかをご提案させていただきます。
初回のご相談は無料です。あなたの会社の輝かしい未来を、共に創り上げる日を心よりお待ちしております。
▶︎ 税務・財務戦略に関するご相談は、税理士法人袖野会計沖縄オフィスへ
お電話:098-979-7221